【敬意の方向を判別】最強の古文敬語法
皆さん、おはこんばんにちは。
広大研講師の橋本です。
今日は「最強の古文敬語識別法」について解説していきます。
古文の敬語に苦手意識がある人も多いと思いますが、本記事を読めばキレイサッパリ理解できること間違いナシなので、
是非とも最後まで読んでもらって敬語へのアプローチ法を勉強してもらえればと思います。
少し長くなると思いますが、それに耐えて最後まで読めば「敬語法」については敵ナシ状態になるので我慢して読み切ってくださいね。
また、以前に『古文主語把握のコツ』という記事も書いているので、
主語の取り方が良く分からないという人は合わせて読んで頂ければと思います。(結構人気の記事なんですよ( ̄ー ̄)ニヤ…)
本記事の目次
敬語の出題形式
大学受験において「敬語」が問題として出題される場合、以下の3パターンが考えられます。
① 敬語の種類が問われるタイプ
② 敬意の方向が問われるタイプ
③ ①・②の両方が問われるタイプ
何となく想像もつくかと思いますが、難易度順に並べています。
細かい話は後ほど1つずつ解説していきますが、それぞれ軽く概要を話しておくと、
① 敬語の種類 については基本的に暗記する部分なので、特別に考えるようなことはありません。
② 敬意の方向 については①ができる前提で文脈に沿って考えることになります。
③ については①・②の両方の力が問われますが、コレが一番出題されるパターン問題です。
それではそれぞれ具体的に確認していきましょう。
敬語の種類について
敬語は ① 尊敬語 ② 謙譲語 ③ 丁寧語 の大きく3種類に分けられます。各敬語がどういった特徴を持つかは後ほど説明しますね。
敬語法の基本的な考え方は、古語も現代語も同じなので、古語でのイメージが難しければ現代語で考えるようにしましょう。
先にも述べた通り、この敬語の種類については暗記するべきポイントなので覚えてください。
単語帳や文法書などに記載されていると思うので、そちらを参考にしてください。
最低限覚えてほしい箇所が「敬語動詞」と「敬語の種類」についてです。
ex. 「給ふ」は「尊敬語」「謙譲語」として使われる敬語動詞である
といった事をその他の敬語でも同様に暗記してください。
この敬語動詞を覚える際に注意してほしいのが「本動詞」と「補助動詞」という区分です。
例えば、各自の単語帳の「給ふ」のページを見てもらうと、
① お与えになる・下さる ② ~なさる・お~になる ③ ~です・~ます
といった意味が記載されていると思います。
「給ふ」という古語で言うと、①が「本動詞」、②・③が「補助動詞」という区分になります。
ここからも明らかだとは思いますが対比的に表現をすると、
「本動詞」とは、自立語として動詞本来の機能を持つもの
「補助動詞」とは、動詞本来の機能を持たないもの
となります。小難しく説明してますが端的に言うと、
「本動詞」は文中において必要なものであり、「補助動詞」は文中から取り除いても意味が通るものを指します。
では確認です。次の太字の「給ふ」について、「本動詞」と「補助動詞」の区別ができるでしょうか(* ̄▽ ̄)フフフッ♪
① 「娘を我にたべ。」と伏し拝み、~
② 人目も、今はつつみ給はず泣き給ふ。
①の文は、『「娘さんを私にください。」と言って伏し拝み、~』という風に解釈できますよね。
よって「本動詞」です。
②の文は、「人目も、今は気になさらずお泣きになる。」と解釈できますね。
つまりこの「給ふ」は共に「補助動詞」となります。
このように文中で訳を「する」or「しない」で「本動詞」と「補助動詞」は区別をしてもらえればと思います。
敬意の方向について
「敬意の方向」と聞くと「???」となるかもしれませんが、
簡単に言うと「敬意の主体と客体」が問われる問題になります。
文中で使われている敬語が「誰から」「誰に対して」敬意を表しているのかを考える問題となっています。
「誰から」の敬意を表しているかの判断は非常に簡単で、
・地の文:「作者」からの敬意を表す ※ 「カッコ」がつかない文章のことね
・会話文:「話者」からの敬意を表す
そして「誰に対する」敬意なのかを考えていく上で重要なのが「敬語の種類」の理解です。
先に述べた「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類の違いが頭に入っていないとそもそも問題が解けないのでここは覚えてください。
尊敬語
尊敬語は、主に「動作主」に対して敬意を表す際に使われます。
[かぐや姫] 人目も、今はつつみ給はず泣き給ふ。
まず最初に確認するのが「敬語の種類」です。
ここでの「給ふ」は尊敬語(これは覚える!)であるので、「動作主」に対して敬意を表していることが分かりますね。
この文脈において「人目をつつみ」「泣い」ているのは「かぐや姫」であるので、この「給ふ」は共に「かぐや姫」に対して敬意を表していることになります。
謙譲語
謙譲語は、主に「動作の受け手」に対して敬意を表す際に使われます。
人々あさましがりて、寄りて[中納言を]抱へ奉れり。
先ほどと同様に「奉る」の「敬語の種類」を確認しましょう。
ここでの「奉る」は謙譲語(これも覚える!)であるので、「動作の受け手」に対して敬意を表していることが分かりますね。
この文脈において「抱へ」られている人は「中納言」であるので、この「奉る」は「中納言」に対して敬意を表していることが分かりますね。
丁寧語
丁寧語は、主に「聞き手・読み手」に対して敬意を表す際に使われます。
[作者は中宮に] 「正月の十余日までは侍りなむ。」
「侍り」の「敬語の種類」を確認すると、「丁寧語」である事が分かる(覚えてね!)ため、「聞き手・読み手」に対して敬意を表している事になります。
この文脈で「聞き手・読み手」に該当する人物は「中宮」であるため、この「侍り」は「中宮」に対して敬意を表していることが分かりますね。
上でも軽く触れましたが、その敬語が「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」のどれなのかは暗記してください。
また、敬語によっては2種類の用法を持つこともあります(例えば「給ふ」には「尊敬語」と「謙譲語」の用法があります)。
覚えないといけない事が多くて大変かもしれませんが、ここができていないと土俵にすら上がれないので必ず覚えるようにしてください。
敬語法の頻出パターン
試験で頻出の敬語法のパターン問題についてですが、ここまでの話が理解できていればもう解けるはずです。
ここで問われるのは「誰から」「誰に対する」「○○語」なのかという事だけです。
例えば上の丁寧語の例で考えると、答えはどうなるでしょうか?
[作者は中宮に] 「正月の十余日までは侍りなむ。」
正解は「作者」から「中宮」に対する「丁寧語」となりますね。正解してましたか?
もう分かると思いますが、ここまで話してきたことのまとめ的な問題ですよね。
これが古文における敬語法の全てです。
改めて重要なポイントをまとめておくと、以下の3点に尽きます。
・各単語が「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」のどれに該当するのかを覚える
・「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の使い方・用法を理解しておく
・「誰」から「誰」に対する「敬語」なのかを文脈等から判断する
暗記は暗記で進めつつ、自分で問題を解いていく必要もあると思うので、演習も行っていきましょう。
何をやるべきか悩んでいる人は次の基準を参考にしてください。
・初級:ステップアップノート(文章はほとんど無しで敬語のみの練習がしたい)
・中級:古文上達(軽く文章を読みながら練習がしたい)
・上級:センター試験の過去問(ガッツリ文章を読みながら練習がしたい) ※ 直近だと2020年度, 2019年度, 2015年度で敬語の問題が出題されているよ(全て本試験)
おまけ
最後に知らないと「差がつく敬語」について解説しておきます。
受験生が間違えやすい、誤解していることが多い頻出の敬語が多々あるので、これから紹介する語はここで覚えていってください。
「給ふ」の用法
敬語動詞「給ふ」には「尊敬語」と「謙譲語」の用法があります。
「尊敬語」の用法は有名なので知っている人も多いと思いますが、実は「謙譲語」としての用法もありこの識別ができなければいけません。
敬語動詞「給ふ」の「尊敬語」と「謙譲語」の識別方法
・「四段活用」の「給ふ」→「尊敬語」 / 「下二段活用」の「給ふ」→「謙譲語」 ※「給へ」と活用している時は要注意!
・「謙譲語」の「給ふ」は「思ふ」「見る」「知る」「聞く」に接続し、かつ「会話文中」でのみ使われる
「※」を付けている箇所の説明をしておきますね。
基礎的な確認ですが、「給ふ」を「四段活用」と「下二段活用」に活用させた際の形は分かりますか?
念のため確認しておくので怪しい人はちゃんと覚えておいてくださいね。
さて、青く塗っている所を見てもらえれば一目ですが、「四段活用」「下二段活用」共に「給へ」と活用する部分がありますよね。
「給へ」に注意!というのはこれの事です。
文中で「給へ」の形で登場されると「四段」なのか「下二段」なのかが判断つきません。
この識別をする上で重要になるのが、上でまとめている「謙譲語」の「給ふ」の特徴です。
こちらは「知らないと差がつく」タイプの知識だと思うので、是非ともここで識別の基準を覚えていってください(過去のセンター試験でも出題されてます)。
「聞こゆ」の用法
「聞こゆ」も超絶「差のつく敬語動詞」です。
過去のセンター試験や模試等でも非常によく問われます。
「聞こゆ」のポイント
・「言う」の謙譲語で「申し上げる(本動詞)」「~し申し上げる(補助動詞)」と訳す
・ごく稀に「聞こえる」という意味で取ることがある
「聞こゆ」最大のポイントは、原形は「言う」であるという事です。
特に、漢字に惑わされた受験生が「聞こえる」と誤訳する光景は親の顔より見てきました(2~3%くらいの確率で「聞こえる」と取ることもある)。
基本的に「聞こゆ」が出題される際は「~し申し上げる」という補助動詞としての意味が問われていることが多いです。
これは過去のセンター試験や模試等を見ていても明らかなので、きちんと覚えておきましょう。
ではここで少し練習をば。
次の問いの解釈として最も適当なものを①~⑤から1つ選びなさい。
⑴ 聞こえまほしき (2017年度センター試験より)
① うかがいたい ② 聞いてほしい ③ 申し上げたい ④ 話してほしい ⑤ 話し合いたい
⑵ らうたげに恋ひ聞こゆめりしを(2014年度センター試験より)
① いじらしい様子でお慕い申し上げているようだったが ② いじらしげに恋い焦がれているらしいと聞いていたが ③ かわいらしげに慕う人の様子を聞いていたようだが
④ かわいらしいことに恋しいと申し上げていたようだたが ⑤ かわいそうなことに恋しくお思い申し上げているようだったが
⑴ について
「聞こえ」は「聞こゆ」が活用している形であることが分かれば超簡単ですね。
今回は本動詞として使われているので、「申し上げる」と訳されている選択肢を選べばいいだけです。
つまり正解は、、、③となります。
⑵ について
「聞こゆ」があるので、本動詞か補助動詞かの判断をしましょう。
ここでは動詞「恋ふ」に接続し、省略しても意味が通る事から補助動詞として解釈しましょう。
つまり「~し申し上げる」と解釈していなければいけないわけですね。この段階で残る選択肢は①と⑤だけです。
ちなみに④は「申し上げる」と解釈しており、これは本動詞としての捉え方なのでここではNGです。
次に考えるのが「らうたげなり」という形容動詞の解釈です。
形容詞の「らうたし」とほぼ同じで、受験生であれば必須の超基礎単語です。意味は「可愛らしい・愛おしい・愛らしい」ですね。
以上から正解は、、、①である事が分かりますね。
このように敬語の知識だけで解答を導けたり、選択肢を絞っていくことができるので、
ここまで話してきたことはもちろん、単語や基本的な文法事項はきちんと押さえておきましょう。
まとめ
さて、長々とお話ししましたがいかがでしたか?
最後まで読んでもらって「よく理解できた!」と思っていただけたら幸いです(^▽^)/。
ここまで読んでもらって、それでも「敬語ってそんなに大切かな?」って思っているのであれば、
今後古文の問題を解いていく中で、敬語が頭に入っていないと絶対に解けない問題に出会うと思うので、その時にまた戻ってきてください。
古文単語や助動詞、敬語など他にも暗記しないといけない事がたくさんあって大変だと思いますが、
少しずつでもいいので知識を増やしていってもらえると良いかなと思います。
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