神戸大学医学部医学科に合格するには?【プロが傾向と対策を解説】
こんにちは.
今回は神戸大学医学部医学科に合格したいあなたに向けて、入試結果分析をふまえた受験戦略と受験計画について執筆します。
本記事を見て、あなたの受験に役立つポイントがあれば是非参考にしていただければ幸いです。
本記事の目次
神戸大学医学部医学科入試状況
大学ポートレートより引用
まずは、入試結果の分析から見ていきましょう。※本記事では前期試験について触れております。
入試科目・配点
令和5年度 入学者選抜要項より引用
入学者選抜要項を見ると
(ⅰ) 2次試験の教科は英・数・理(物, 化, 生から2科目)の3教科+面接
※面接に関して、医師および医学研究者となるにふさわしい適正を見るために実施されます。適正に大きく欠けると判断された場合、筆記試験が合格点に達していても不合格となるので、対策はしっかりと行いましょう。
(ⅱ) 共通テストよりも2次試験の方が配点割合が高い(共通テスト:2次試験 = 4 : 5)
※共通テストに関する注意点は以下のとおりです。
① リーディング:リスニングの配点割合は 4 : 1
➁ 社会を2科目受験した場合、第1解答科目の成績が適用される
ことが神戸大学医学部医学科の特徴といえます。
810点中690点分(約85.2%)を英・数・理が占めているので、英・数・理の3教科を重視した学習が必要です。
※2段階選抜について
志願者数が大学が定める募集人員よりも大幅に上回っている場合、共通テストの得点が大学が定めた合格ラインを上回った志願者だけに、二次試験の受験資格が与えられます。神戸大学医学部医学科では募集人員が3倍を超えると2段階選抜が実施されます。
ここ2年間のデータを見ると、3倍を超える定員人数がいないので、2段階選抜を行っていません。
神戸大学 2段階選抜実施状況より引用
入試結果
次に、過去の入試結果を確認してみましょう。
過去3年分の前期試験合格者成績情報を表にまとめました。※大学入学共通テスト(最高点・最低点)、2次試験結果は載っておりませんでした。
入学試験(合格者)成績結果より引用
表から神戸大学医学部医学科に合格するための点数は、620点(約76.6%)と予想されます。
共通テストで8.5割以上(できれば9割以上)、2次試験は7割確保しなければいけません。
受験戦略
ここまでの内容をふまえると
- 第3回全統共通テスト模試(数・理・英)の点数を9割まで到達させ、学力をキープしつつ、共通テストでも同様の点数を取る
- 第3回全統記述模試(数・理・英)で8割以上取る
- 共通テスト後、過去問演習を中心とした2次試験対策により、7割以上の点数を確保する
レベルまで学力を向上させなければ、神戸大学医学部医学科への合格は夢のまた夢でしょう。
国語・社会の共通テスト対策を秋以降に集中的に行い、8割近くの点数を取ることも重要です。上記をふまえた目標点のイメージは以下の表のとおりです。※得意教科・不得意教科は人それぞれですから、上記の表はあくまでも参考例として使用してください。
国語・社会の合計点が7割弱でも合格最低点を超えていますね。
社会の選択
合格最低点の目標イメージでも記載したとおり、7割しか点数を取れなくても合格を勝ち取ることは十分可能です。
そのため、地歴を受験科目として選択しても良いと思います。
ただし、受験学年の秋以降に地歴の勉強を1から行うことは絶対に避けてください。
理由は言わずもがな、暗記量が膨大だからです。
日々、学校の授業や予備校の授業を大切にし、どの単元でも最重要項目の暗記が出来ていることが絶対条件です。
また、そもそも、数・理・英の学力目標に到達するために死に物狂いで勉強している人がほとんどでしょう。
やはり、「できるだけ時間をかけず、高得点が取れる科目を選びたい!」はずです。
その場合は、倫理・政治経済を受験科目としましょう。
暗記量が地歴よりも少なく、短時間で7割を確保することは十分に可能です。
中川雅博・栂明宏の倫理・政治経済教室のような講義系の参考書を用い、最短時間で基礎固めを行いつつ、共通テスト演習を積み重ねてください。
受験計画
では、受験計画のモデルをご紹介します。春は基礎、夏に標準~応用、秋は10~11月頃より徹底した共通テスト対策、共通テスト後に過去問を中心に二次対策が基本戦略となります。
英語
英語の問題構成の特徴は以下のとおりです。
(ⅰ)制限時間80分に対し、大問数は3問(長文問題2題, 会話問題1題, 英作文1題)、難易度は標準レベル(これだけの量を制限時間内に解ききるのは、かなり難しいでしょう。)
(ⅱ)長文問題に関して、英文和訳・内容説明を中心に、穴埋め・内容一致問題を含む(基礎力をつけていないと太刀打ちできませんね・・)
(ⅲ)会話問題は選択形式の問題が多い(普通の英文とは異なる表現方法・省略、指示語が頻繁に使用されるなど、差がつきやすい問題といえます。)
(ⅳ)英作文では、和文英訳や自由英作文など様々なパターンが出題される可能性大(対策度合いによって、こちらも点数差がはっきりと表れるでしょう。)
これらをふまえ、英語で合格点を取るためには、英語の基礎力を早期に行い、徹底的に演習を積むことが目標です。
(注)高校2年生3月末までの英語の実力に関して
- 総合英語 Evergreenなどの英文法用の講義系参考書を使用し、ほとんどの英文法の知識を暗記しつつ、初見で見る英文で使いこなせるレベルに到達する
- ターゲット1900のような英単語帳に含まれている頻出英単語をほとんど暗記できていること
- 共通テスト模試の点数が6~7割以上取れていること
が最低条件です。
以下、高校3年生以上の学年に対する年間学習計画のイメージとなります。
長文問題の内容はそれほど難しくないと思います。9~10月までに、地方国公立レベルの精読力・読解力を完成させましょう。
そのために
① 基礎英文解釈の技術100などの精読用問題集を少なくとも5周以上演習し、差がつきやすい解釈問題を解ききれるようにしてください。
➁ 東進のレベル別問題集ややっておきたい英語長文シリーズのような長文読解用問題集を用い、長文読解に慣れることと記述力を磨いてください。※模範解答と自分の記述内容が合っているか不安な場合、学校の先生や塾の先生に質問しましょう。
英作文は7月~10月の期間で対策を行って下さい。
竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本や「自由英作文編」英作文のトレーニング、基礎英作文問題精講を用いるのが良いと思います。
基本例文や表現がスラスラと書けるまで、繰り返し演習を行いましょう。自分の書いた答案が正しいかどうか、塾の先生や学校の先生に日々確認するようにしてください。
リスニングに関して、春先から行ってください。
リスニングの素やリスニング×スピーキングのトレーニングを用い、英語を音で聞くときの注意点を学びつつ、演習を図るようにしてください。
11月以降は共通テスト対策(リーディング・リスニング)に専念しましょう。
リスニングはセンター試験の過去問から始め、毎日1年分演習を積み重ねましょう。
その後、過去問や予想問題集をリーディング・リスニング交互に1日1年分解いていきましょう。
- 設問から必要な情報を素早く入手し、本文と照らし合わせ、適切な選択肢を選ぶ
- 1度の音声で放送文の内容を大方把握できるようになる
練習を徹底してください。
共通テスト後は、二次試験対策を行っていきます。過去問を15~20年分取り組むことが出来れば、入試に向けて万全でしょう。※会話表現の暗記も対策として忘れないよう注意しましょう。
数学
数学の問題構成の特徴は以下のとおりです。
(ⅰ)制限時間120分に対し、大問数は5問(標準~やや難レベル) ※1題あたりに使える解答時間は比較的短いと思う人もいるかもしれません。
(ⅱ)1, 2題程度、文系数学と同じ問題が出題される(これらの問題は比較的易しい問題なので、短時間で完答してください。)
(ⅲ)全ての大問で小問がある(各大問で誘導がかけられているということなので、医学科志望の皆さんにとっては完答しやすい環境といえるでしょう。)
(ⅳ)数学Ⅲの出題割合が高い(半数は数学Ⅲから出題されるので、数学Ⅲに不安な単元を残しているようでは神戸大学合格はかなり厳しいです。)
これらをふまえ、数学で合格点を取るためには、標準レベルの入試演習用教材がスラスラ解けるようになることが目標です。
(注)高校2年生3月末までの数学の実力に関して
- 青チャートやFocus Goldなどの問題集を使用し、数学ⅠAⅡBⅢの全単元の基礎~標準レベルの問題は8割程度解けること
- 共通テスト模試の点数が7割以上取れていること
が最低条件となります。
以下、高校3年生以上の学年に対する年間学習計画のイメージとなります。
春~6月末の時期は、引き続き青チャートやFocus Goldを使って、全単元の基礎~応用レベルの問題を完璧にしましょう。絶対的な入試演習量が必要です!
問題を見た瞬間、解法を最後までスラスラ言える(またはノートに解答が書ける)レベルまで仕上げてください!
7月~10月末の時期で、入試標準レベルの問題を完成させたいところです。使用教材としては、理系数学のプラチカがオススメです。
※少なくとも使用教材の半数以上の問題が解けるようにしてください。
11月以降は、共通テスト対策に全力を注ぎましょう。解答時間-20分を目安に演習を行わないと、9割到達は難しいです。
物凄い早いスピードで共通テストの問題を解くことになるので、計算ミスなど発生しやすいです。
余った時間で、隅々まで問題の見直しを行う練習などの「本番を想定した取り組み」を必ず行ってください。
共通テストが終わった後は、過去問演習を行いましょう。最低でも10年~15年分の過去問を演習してください。
※理系数学のプラチカの演習量が不足している人は、ここで挽回するしかありません。
確率、数列の極限、微積分(数学Ⅲ)・三角比と図形が頻出単元となるので、これらの単元は確実に完答できる実力をつけておきましょう。物理
物理の問題構成の特徴は以下のとおりです。
(ⅰ)制限時間60分に対し、大問数は3問(標準レベル)
(ⅱ)力学、電磁気の分野は毎年出題される
(ⅲ)残りの大問は、波・熱・原子のいずれか出題
(ⅳ)記述問題やグラフを描く問題も出題される
これらをふまえ、物理で合格点を取るためには、標準レベルの入試演習用教材がスラスラ解けるようになる+力学、電磁気の分野で満点を取れる実力をつけることが目標です。
(注)高校2年生3月末までの物理の実力に関して
- 高校物理で履修する全単元に触れていること
- リードLightノート物理やセミナー物理のような演習用教材を用い、全単元の基本問題はほとんど解ける
- 共通テスト模試の点数が6割以上取れていること
が最低条件となります。
以下、高校3年生以上の学年に対する年間学習計画のイメージとなります。
春~6月末まで、上記の演習用教材を用い、標準レベルの問題もほとんど解ききれるようになってください。
こちらもスラスラと解法が言えるようになるまで演習が必要です。
7月~10月末までは、良問の風や名門の森を用いて入試演習を行ってください。
神戸大学の物理の問題は標準的な問題が多いので、良問の風に掲載されているすべての問題がスラスラ解けるようになることが必須となります。
良問の風は問題数が多いので、名門の森に進むことができない人もいるでしょう。その場合は、共通テスト後に演習を図りましょう。
11月以降は、共通テスト演習を行いましょう。実験問題や考察が必要な問題が出題されますので、
- 問題文から読み取るべき情報は何か
- そのような物理現象が起き、なぜそのような結果になるのか
- 自分の解法が正しい理由が説明できるか
といったポイントに注意しながら、解答時間-15分を目安に演習を行ってくaださい。
共通テスト後は、過去問を15年分以上解きましょう。※名門の森を学習できていない人は、ここで学習する。
過去問演習を通じて、代表的な実験内容の過程や結果をしっかりと理解しておいてください。
化学
化学の問題構成の特徴は以下のとおりです。
(ⅰ)制限時間60分に対し、大問数は4問(理論分野2問、有機分野1問、高分子1問)、難易度はやや易~標準レベル
(ⅱ)無機分野は理論分野の大問に含まれる場合もある
(ⅲ)計算が多いので、制限時間内に解答しきれない可能性がある
これらをふまえ、化学で合格点を取るためには、標準レベルの入試演習用教材がスラスラ解けるようになる+高分子の単元も丁寧に勉強をしておくことが目標です。
(注)高校2年生3月末までの化学の実力に関して
- 高校化学で履修する全単元に触れていること
- リードLightノート化学やセミナー化学のような演習用教材を用い、全単元の基本問題はほとんど解ける
- 共通テスト模試の点数が6割以上取れていること
が最低条件となります。
春~8月末の期間は、上記の演習用教材を使って、標準レベルの問題もほとんど解けるようにしてください。
各単元で出てくる公式や用語を丸暗記するのではなく、どのような意味を示しているのか意識しながら勉強を行いましょう。(例:酸化とは、反応前後で酸化数が増加する/酸素と結びつく/電子を放出する)公式や用語がスラスラと言える、各単元の問題もすべてスラスラと解けるようになるまで演習を繰り返してください。
※数学・英語・物理の学習がかなりハイペースになることや化学の入試難易度をふまえ、夏休み終了時までに学習期限を延長しています。これ以上延長することはできませんよ!
9月~10月末の期間は、重要問題集を使って入試演習を徹底しましょう。
重要問題集は、A問題・B問題と2種類の難易度に分かれた問題が掲載されていますが、この期間で最低でもA問題はすべて解いて7~8割程度の問題は完璧にしておく必要があります。
11月以降は共通テスト演習を行いましょう。
- 計算過程を順を追って問題用紙に書き込む
- 長めの問題文から、条件を素早く読み取り、覚えた知識と結びつける
などの共通テストに特化した勉強を演習を通して身につけましょう。物理と同様、解答時間-15分を目安に演習を行ってください。
共通テスト後は、過去問を15年分以上解きましょう。
理論分野の後半の問題は時間がかかる可能性があるので、制限時間内に解ける問題を最短で解き、残りの時間で理論分野の残りの問題を解くというイメージが良いと思います。
※重要問題集のB問題が解けていない人は、この時期に必ず解いてください。
その他共通テスト科目
その他の文系科目についてですが、10月以降、確実に共通テスト演習を行えるよう勉強を進めておきましょう。
現代文のキーワード暗記・熟語暗記、古文単語・古典文法、社会の用語暗記など、最低限のことは勉強してください。
文系科目が苦手という方もいると思いますが、マーク形式の演習をしっかりと積めば、出題傾向・解き方もある程度把握できますから、目標点の到達は十分可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
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