【大学受験】古文はスラッシュ読みをしよう!
どうもどうも、広大研国語科の橋本です!
ここ最近、日中でも気温が下がってきて、かなり過ごしやすくなりましたね
暑がりの僕としては嬉しい限りです
ただ、季節の変わり目は体調を崩しやすくもあるので、自分の体調管理には気を付けておきましょう!
さて、今回のテーマは【古文はスラッシュ読みをしよう!】です
古文が読めない人はありえないくらいスラッシュ読みができません
スラッシュを入れて区切りながら文章を読む、
要するに『意味のカタマリ』を取りながら文章が読めると、古文は格段に読みやすくなります
今回は、カタマリ読みをするために必要なことを解説し、以下の【課題文章】を区切りながら解釈するので、
今後、自分で文章を読んでいく上で参考にしてください!
【課題文章】
いづれの御時にか、女御・更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなききはにはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。初めより我はと思ひあがり給へる御方々、めざましきものに、おとしめ、そねみ給ふ。同じほど、それより下﨟の更衣たちは、ましてやすからず。朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨みを負ふ積もりにやありけむ、いとあつしくなりゆき、もの心細げに里がちなるを、いよいよ飽かずあはれなるものに思ほして、人のそしりをもえはばからせ給はず、世のためしにもなりぬべき御もてなしなり。(『源氏物語 光君誕生』より一部抜粋)
1. スラッシュ読みをするために
スラッシュで区切りながら読むと言っても、「何を」「どのように」区切ればいいと思いますか?
ここからは、スラッシュ読みに必要なことを大きく3つ紹介していくので、
1つ1つ消化してもらえたらと思います!
1-1 古文単語
必要なこと1つ目は 『古文単語』 です!
「そんなの当たり前じゃん!」って思うかもしれませんが、そんな当たり前の事ができていない人が多過ぎます
純粋に単語の意味を覚えていない人も多くいますが、意味を覚えているだけではスラッシュ読みには大して役に立ちません
スラッシュ読みで必要なことは『単語の活用』を理解していることです
単語帳には様々な動詞、形容詞、形容動詞が単語として載っていると思いますが、
それらは全て基本形(終止形)で記載されているので、あまり活用を意識することはないと思います
しかし、文章中で出てくる語はほとんどが活用しており、単語帳の形とは見た目が変わっていることが多いです
もし、「単語の意味は覚えてるけど、文中で使われるとそれに気づけない」という人が居れば(実際、結構居ますが、、、)、
その人はそもそも活用が頭に入っていない可能性が高いので、まずは活用形を理解するところから始めましょう!
1-2 助動詞
スラッシュ読みに必要なこと2つ目は皆大好き 『助動詞』 です
こちらも単語同様、「意味+活用」をセットで覚えておく必要があります
特に助動詞は、単語以上に活用した際の形が複雑化しやすいので、活用に関しては特に注意して覚えておきましょう!
活用を見て覚えられるならそれでもいいですし、難しければ手を動かして(活用表を書く)覚えるようにしましょう
また、解釈をする際に助動詞の意味を判断しようとする人も居ますが、そこまで細かく読む必要はありません
僕は古文を読む際は助動詞は殆どガン無視で読んでいます
もちろん、判断しろと言われたら判断できますが、そもそも助動詞は接続する語に少し意味をプラスするだけなので、
大まかな流れが取れていれば、助動詞の細かい意味なんて正直どうでもいいです
ただ、打消の助動詞「ず」「じ」「まじ」には注意しておきましょう
こういった打消語は文章の意味をひっくり返す(「+」→「-」, 「-」→「+」)ので、ここだけは気を付けておきましょう!
助動詞に関してもう一つ補足しておくと、
センター試験では文法問題として問われていた、「助動詞の識別」は必ずできるようにしておいてください
例えば、文中に「ぬ」が出てきた時、それが何なのかを理解しておかないとスラッシュ読みをする上でかなりの弊害になります
(未然形+ぬ → 「打消」, 連用形+ぬ → 「完了」みたいな感じ)
1-3 助詞
最後は『助詞』です
文法として見るとかなりの種類があるので、めんどくさく感じますが、必要なモノは少ししかないので安心してください
スラッシュ読み・解釈をする上で必要なのは、
① 格助詞
② 接続助詞
③ 終助詞 の3つです
また、助詞は「活用がない」ので助動詞と比べると取り組みやすいと思います
+α 参考教材
ここまで「活用語」「助動詞」「助詞」をそれぞれ勉強する必要があると話してきましたが、
具体的な方法を説明していませんでしたが、こちらについては下記でまとめて紹介しているので、
本当にやる気がある人は書店等で購入して実際に取り組んでみてください
2. 実践演習
それでは、ここまでの話を踏まえて【課題文章】をスラッシュ読みしながら解釈してみましょう!
ちなみにここでの分け方は完全に僕の我流であり、文法に忠実に分けるとまだまだ細かく分かれます
しかし、スラッシュ読みは内容を大まかなカタマリとして取るためにする作業なので、
今回はざっくりした意味のカタマリでスラッシュを引いています
余裕がある人は、僕が実際にどういう基準でスラッシュを引いているのか考えてみてください
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① いづれの御時にか、女御・更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなききはにはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。② 初めより我はと思ひあがり給へる御方々、めざましきものに、おとしめ、そねみ給ふ。③ 同じほど、それより下﨟の更衣たちは、ましてやすからず。④ 朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨みを負ふ積もりにやありけむ、いとあつしくなりゆき、もの心細げに里がちなるを、いよいよ飽かずあはれなるものに思ほして、人のそしりをもえはばからせ給はず、世のためしにもなりぬべき御もてなしなり。(『源氏物語 光君誕生』より一部抜粋)
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① いづれの御時にか、 / 女御・更衣あまた候ひ給ひける中に、 / いとやむごとなききはにはあらぬが、 / すぐれて時めき給ふありけり。
「どの帝の時代だったであろうか / 女御・更衣が大勢お仕えなさっていた中に / それほど高貴な身分ではない方で / 格別に帝のご寵愛を賜っていらっしゃる方がいた」
② 初めよりは / 我はと思ひあがり給へる御方々、 / めざましきものに、 / おとしめ、 / そねみ給ふ
「最初から / 自分こそはと自負しておられた方々は / 目に余るものとして / さげすみ / 妬みなさる」
③ 同じほど、 / それより下﨟の更衣たちは、 / ましてやすからず。
「同じ身分か / それより下の身分の更衣たちは / まして心穏やかでない」
④ 朝夕の宮仕へにつけても、 / 人の心をのみ動かし、 / 恨みを負ふ積もりにやありけむ、
「朝夕の宮仕えにつけても / 他の女性の嫉妬心をかきたて / 恨みを受けることが積もったのだろうか」
いとあつしくなりゆき、 / もの心細げに里がちなるを、 / いよいよ飽かずあはれなるものに思ほして、
「たいへん病気がちになっていき / 何とも心細そうに実家に戻りがちになるのを / 帝はますますたまらなく不憫にお思いになって」
人のそしりをも / えはばからせ給はず、 / 世のためしにもなりぬべき / 御もてなしなり。
「人の非難さえ / はばかることがおできにならず / 世間の話題になってしまうような / ご待遇である」
とまあ、ざっくりカタマリで解釈するとこのようになります
ちなみに、スラッシュを引く基準ですがわかったでしょうか?
答え合わせをしておくと、
① 「、」で区切る ② 主語・述語の1カタマリで区切る といった点を意識しながら読んでいます
また、下線部「人のそしりをも / えはばからせ給はず」と区切っていますが、これは
文法「呼応の副詞」の「え~打消(~できない)」があるため例外的に行っています
こういった細かい文法事項は多く文章を読み、練習する中で身に付くものなので、数をこなして覚えていきましょう!
「世のtめしにもなりぬべき / 御もてなしなり」については、
文として長くなってしまうので区切っているだけで、理解できる人は区切る必要はありません
個人の裁量におまかせします
文章を切らず、長い長い1文として解釈しようとすると話が分からなくなる古文でも、
このようにカタマリで解釈すれば格段に意味が取りやすくなり、内容理解が捗りますよね
3. まとめ
さてさていかがだったでしょうか
「単語や文法はできると思うけど、文章は読めない」なんて人は、
スラッシュでカタマリを区切ることができるかを確認してみましょう!
もしできなければ、それは単語や助動詞が「できる気になっているだけ」です
その謎の自信は捨て、悔い改めてから再度、単語や助動詞の「活用」を確認しましょう
特に、高校1・2年生はこの作業をすることを意識しておくといいです
「受験学年になって、ようやく古文始めました」という人が多くいますが、正直手遅れです
やるかやらないかはあなた次第ですが、
「国語を笑うものは、受験で失敗する」ので、できるうちから少しずつ勉強はしておきましょう!
健闘を祈ります!