【大学受験】漢文書き下し問題のコツ!
皆さんこんにちは!
広大研国語科講師の橋本です
まだまだ暑い日が続いていて、エアコンの効いた屋内からなかなか出られませんね
また、熱中症も怖いので経口補水液などでこまめに水分補給をするようにしましょう!
僕は大学生の時に熱中症で一度夜中に病院に運ばれています!
熱中症は本当に洒落にならならないので、皆さんも気を付けて下さいね
さて、今回は【漢文】の「書き下し問題」の解法です
「日本人だから漢文分からない」といった意味の分からない言い訳をく聞きますが、
日本人でも漢文は容易に読めます
むしろ、国語の中で見れば漢文は一番勉強のコスパが良いです
その漢文に頻出の「書き下し問題(返り点のつけ方)」の解法を話していくので、
今回の話を理解して、「書き下し問題は絶対に取れる!」レベルにまで持っていきましょう!
本記事の目次
0. その前に・・・
「書き下し問題」の解法をお話しする前に1つ確認しておかなければならないことがあります
これから漢文の話を進めていくわけなので、(意味は理解できなくても)文章そのものは読めないといけません
そのためには「返り点」の知識が必須になります
もし、「返り点」の返り方が分からず文章が読めないという人は
先に返り点の知識を入れておきましょう!
解説等についている書き下し文と同じように読めていれば大丈夫です
少し話を挟んでしまいましたが、
ここからは正真正銘書き下し問題の解法について3部構成で話を進めていきます!
STEP 1 重要句法の知識
返り点はもちろんですが、句法の知識もかなり重要になってきます
学校や塾でも「句法を覚えなさい!」とよく言われてるのではないでしょうか?
でも、ただ「句法を覚えろ」と言われても
「何を」「どうやって」覚えたらいいのか分かりにくいですよね
また、「重要句法」とか言われても何が重要句法なのかもわかりにくいと思います
なので、ここでは俗にいう「重要句法」について説明しておきます
1. 「何を」「どうやって」覚えるか
まず、「何を」覚えるかに関してですが、句法を覚える際は
1. 句法の「形」
2. 句法の「読み」
3. 句法の「意味」
を意識して覚えるようにしましょう!
例えば上の1, 2, 3の形にそろえて考えると
A 使 B C (横書きなのは許してね) |
この形だと、
1. A 使 B C の形
2. A、BをしてC(せ)しむ
3. AはBにCさせる
となります
2. 「重要句法」とは
「重要句法」については、
本当は皆が持っている句法書的なものに乗っているのを全て覚えるのが一番ですが、
それはあまり現実的ではありませんし、かなりの時間を要します
だから、優先順位をつけて、ここで紹介する句法を先に覚えてしまいましょう!
てきとうに選んだわけではありません
今まで多くの漢文を読んできた中でも特に「重要な」ものを選んでいるので安心してください
〇使役形
1. A 使 B C |
2. A、BをしてC(せ)しむ |
3. AはBにCさせる |
〇受身形
1. A 為 B 所 C |
2. A、BのCする所となる |
3. AはBにCされる |
〇反語形
1. 豈・・・(乎) |
2. あに・・・ん(や) |
3. どうして・・・だろうか(いや、・・・ない) |
STEP 2 反復箇所を探す
現代文や古文、漢文は文章の中で同じことを表現を変えて何度も言っていることが多いです
この特徴が漢文の「書き下し問題」を解く上で大きなヒントになります
そう、問題として問われる「書き下し問題」と「同じ形」になっている箇所や「同じ読みをする」箇所を探せばいいんです
簡単な間違い探しみたいなもので、この方法は非常に楽です
でも、知ってる人があまり居ないんですよね、、、残念なことです
では、実際に見てみましょう!
・・・ 哀 其 身 不 能 一 日 事 乎 母 也。
哀 母 之 言 語 動 作 亦 未 能 識 也。・・・ |
センター試験2016年度の漢文の問題の一部抜粋です
実際の試験では、下線部の「返り点のつけ方」と「書き下し文」として正しいものを答えさせる問題として出題されました
ちなみに、下線部の次の「哀母之言語動作亦未能識也」は
「母の言語動作も亦た識る能(あた)はざるを哀しむなり」と書き下します
さて、この問題を解いていくわけですが、皆さんもうお気づきですかね?
下線部とその次の一文とを見比べてみましょう
哀 其 身 不 能 一 日 事 乎 母 也 |
哀 母 之 言 語 動 作 亦 未 能 識 也 |
なんだか似てませんか?
互いに「哀」から始まり「也」で終わる
さらに、「能」に否定語「不」と「未」が付いていますよね
となると、下線部の基本の骨組みは形を揃えて
「~~能はざるを哀しむなり」となるのが自然ですよね
だから、この形の読みをしている選択肢を選べば良いのです
ちなみに正しく書き下すと、
「其の身の一日として母に事ふる能はざるを哀しむなり」
となります
もちろんこの手法がいつも使えるわけではありませんが、こういった考え方があることを知っているか知らないかではかなり違います
これからは、返り点をつけて書き下す際は「同じ形」「同じ読み」がないか探してみましょう!
STEP 3 文脈を捉える
やはり最後は文脈判断です
これは単純な句法の知識や同形・同読の範疇を越えてしまっており、
考え方としては一番難しいと思います
ですが、文脈を考えて判断できる力はかなり重要です
ここまでのSTEP 1とSTEP 2の解法で選択肢を絞っても正解が選べなければ最後は文脈に頼りましょう
残った選択肢を軽く訳してみて文意にそぐわないのであれば、消していくしかありません
こちらは演習の数がモノを言います
もう9月にもなるので、受験生は特に演習を重ねて力をつけておきましょう
まとめ
いかかだったでしょうか?
今回は漢文の「書き下し問題」の解法について話をしました
色々話はしましたが、理論だけでは力はつきません
実際に演習し、使っていく中で初めて自分のモノになります
受験生はもちろん、高校1、2年生でも使える手法なので、
数をこなして「書き下し問題のプロ」になりましょう!